#2 坂本慎太郎「幻とのつきあい方」
今回のレビューは、坂本慎太郎の「幻とのつきあい方」です。ゆらゆら帝国のボーカル、ギターを務めていた坂本慎太郎が、ゆらゆら帝国解散後に発表した1枚目のアルバムです。アルバム全体を通して、聴きながら小躍りしたくなるような、いつの間にかスキップをしているような、ファニーでキッチュな雰囲気に包まれています。
私が坂本慎太郎と出会った曲は、ソロになって1枚目のシングル「まともがわからない」です。2013年にテレビ東京で放送されていた「まほろ駅前番外地」のEDに使われており、それを聴いた大学生の私は見事にハマってしまいました。軽妙な音楽の中に使われるトランペットの音がとても気持ちいい。
ゆらゆら帝国自体はその前から知っていたのですが、初期の激しいガレージロックのイメージが強くそこまで聴いていませんでした。このまともがわからないをきっかけに、坂本慎太郎、ゆらゆら帝国を聴き始めます。個人的には、ゆらゆら帝国初期より後期、後期よりソロ期と、時を経ていくにつれて好きですね。
さて、幻とのつきあい方についてですが、「幽霊の気分で」、「傷とともに踊る」といった名曲もありますが、個人的なベストは「君はそう決めた」です。
ゆらゆら帝国の「おはようまだやろう」と双璧をなす、個人的オールタイムベストのひとつです。静かな始まりから、曲が進んでいくにつれて盛り上がっていくトランペットの音色。コンガ?の音と相まって非常に芳醇なグルーヴとなっています(この表現がが合っているかはわかりませんが)。
歌詞は平易な言葉で構成されていますが、聴いていてリズムが気持ちがいい。まるで、歌声もひとつの楽器のような感じがします。
この曲のMVはYouTubeに上がっています。坂本慎太郎が描いたアニメーションと曲のリズムが気持ちよくリンクしています。MV中にはリズムに合わせて踊る(変な?)人間が描かれていますが、思わず一緒にそのダンスを踊ってしまいそうになります。
この曲の良さを語れるほどの音楽的な言葉を持ち合わせていませんが、とにかく「聴いてて気持ちがいい」ということに尽きます。聴くたびに脳にドーパミンが出てきて、何も考えずに気持ちがふわ~っと浮いてくるような感覚になります。死ぬまで飽きずに何度も聴くんだろうなと思います。
それでは、#2はこれで終わりです。
次回は、Lisbonneの「Triste Twist」をレビューします!